麹の配合量が多い、30割味噌。麹ならではの香りや甘さが際立つ、贅沢な生味噌。
江戸時代末期から150年の歴史を歩み続ける、浦野醬油醸造元。今や地元豊前市だけでなく、全国にファンを持つ老舗醤油蔵だ。
浦野醤油醸造元はお醤油だけでなく、味噌の味・品質においても評価が高い。今回は、なぜ浦野醬油醸造元の味噌が他と違うのか、そして美味しいのかを、6代目女将の浦野敦子さんに聞いてみた。

◆麹の含有量が多い、贅沢な手作り味噌『麹のチカラ』
「これがウチの味噌『麹のチカラ』です。合わせ味噌と麦味噌、あと米味噌があるんですが、たくさん出るのは合わせ味噌かな。麦味噌と米味噌を仕込んで合わせています。麹の香りがしっかりと残る、田舎味噌ですね」
浦野醬油醸造元の味噌は麹本来の甘さが際立っていて、香りや旨味がとにかく強い。お味噌汁にすると、上品な味わいに仕上がる。
「味噌に含まれる麹の割合って知ってますか?だいたい普通の味噌は、多くても20割くらい。でもウチの味噌は30割です。これって、お味噌のことを知ってる人が見ると、けっこうとんでもない配合だったりします」
20割、30割とは、麹の配合量を表している。大豆1に対して麹3の場合、30割味噌と表現するそうだ。
「麹をたくさん使うと、それだけコストが上がります。30割にもなると、かなり高級味噌が多いと思いますね」
たしかにインターネットで30割味噌を探してみると、そのほとんどがこだわり商品で、かつ高価だ。浦野醤油醸造元の場合は450gで360円というリーズナブルさも嬉しい。

◆『麹のチカラ』は、麹が生きている生みそ。
「スーパーで売ってるお味噌って、ほとんどが過熱処理されてます」
加熱しないと出荷後も熟成が進んでしまうため、品質の管理が難しい。そのため加熱することで菌を殺し、長期間にわたって品質を安定させている。発酵食品ならではの菌を殺してしまうのは、やはりもったいない気もする。
「ウチのはもちろん生味噌です。普通のお味噌より麹が多いこともあって、出荷後も発酵していきます。容器の中で膨張していくのは、お味噌が元気な証拠なんですよ」
加熱処理されたパックジュースと、搾りたて生ジュース。フレッシュなナチュラルチーズと、加熱されたプロセスチーズ。その香りや味わいが全く違うことは想像できる。同じようにお味噌も、生とそうでないものは香りや味わいが全く違う。
また、好みに合わせて常温で熟成を進めたり、熟成させたくなければ冷蔵庫で保存したりと、自分の好みに調整できるのも、生味噌の良いところだろう。

◆まずはお味噌汁で。色んなアレンジもオススメ。
「やっぱりまずはお味噌汁で食べてほしいですね。麹が生きてるし、麹の配合量が多いから、ぷ~んと麹がしっかり香る上品なお味噌汁になりますよ。豚汁とかもいいかも。味噌自体が濃厚なので、豚汁にしても味噌の香りが負けません。あ、お味噌を溶くときに麹の粒がそのまま残るんですが、体にいいのでそれも食べてほしいです!」
ベーシックなお味噌汁以外には、どんな使い方ができるのかも聞いてみた。
「生味噌だし香りがいいので、そのままお野菜に付けても美味しいです。マヨネーズやはちみつと合わせたりしても美味しいですよ!できれば、味噌の香りを楽しんでもらえるような食べ方をしてほしいですね」

和食にお味噌汁は欠かせない。昨今は食の欧米化が進み、和食を食べる機会が以前より減ってきたように思う。それでも、日本人と味噌とは切っても切れない関係にある。
近年では発酵食品ならではの健康効果や美容効果が、日本だけでなく世界からも注目されつつある。
日常的に使うものだからこそ、いつもより少しこだわったものを、そしてより美味しいものを選んでみるのはいかがだろうか。